Googleからの集客経済が変わる。クリックに頼らない勝つコンテンツ設計

こんにちは、チャコウェブの横山ゆみこです。

前回は「ゼロクリック時代」を前提に、クリックよりも「その場で信頼される」設計をしよう、とお話ししました。

今回は一歩踏み込み、いま何が起きているのか、そして中小企業にとっての具体的な打ち手をまとめます。

数字を見ると、見過ごせない事態になっています。

特に、変化のスピードから判断すると「様子見をしている暇はない」のが今。

記事を読んだら、動き出しましょう。

🌋 Google中心の経済に起きた地殻変動
🔍 Google検索エンジンの変化による影響
🤖 生成AIがもたらす影響が大きすぎる
🏭 中小企業への見過ごせない影響
💭 コンテンツの価値は薄れたのか？
⚙️ 今すぐ考え方を変えるべき3つのこと
🎯 中小企業が取るべきゼロクリック前提の戦略
📈 本質的なゴールは昔も今も変わらない
📌 まとめ

Google検索からサイトへ訪れるユーザー数は減少傾向にあり、その分だけ「検索結果ページ上で完結」してしまうケースが増えています。
地図、画像、ショッピング、そしてAIとチャットで回答をもらえる「AIモード」もあります。

ユーザーは画面を移動せず、そこで用が足せるようになりました。

データでも兆候が見えます。

AI要約が表示された検索結果では、クリック率が顕著に低下したという分析が複数出ています。

つまり、検索順位が1位であろうと、アクセスされない状況が加速しているのです。

検索エンジンやAIによるサイトのクロール（閲覧）頻度は増えているのに、実際の訪問者数は比例して増えていないことが、Cloudflare社のデータによって確認されています。

参照：The crawl-to-click gap: Cloudflare data on AI bots, training, and referrals

「検索数はある、でもクリックは減る」

こんな感じです。

特にニュースサイトでは2025年に入りGoogleからの訪問が月間で1割以上落ち込んだ例も報告されており、検索経由の集客モデルに陰りが見え始めました。

そして、GoogleはAI要約内に広告を組み込みながら検索体験を再設計しています。

検索結果の「その場」で意思決定が進む流れは、今後も強まるでしょう。

この変化は中小企業やそのウェブサイトに何をもたらすでしょうか。

端的に言えば、検索エンジン経由での集客の難易度が上がっているといえます。

「過去10年間でGoogle経由で同じトラフィックを得るのが約10倍も難しくなった」

CloudflareのCEOであるプリンス氏はこのように指摘しています。

理由は、前述のようにGoogleが検索UIを変えてユーザーを自社内で満足させてしまうためです。

中小企業にとって、これは広告収入や問い合わせ獲得の機会が減ることを意味します。

従来は「検索エンジンに情報提供すれば見込み客が訪れる」という暗黙の了解がありましたが、その古いモデルが機能しづらくなっているのですね。

生成AIの台頭もまた深刻な影響をもたらします。

ChatGPTのようなAIは、ネット上の大量の文章を学習データとして吸い上げ、ユーザーの質問に対してオリジナルのサイトに誘導せずに回答を生成します。

その結果、ウェブ全体で見ると「AIによる利用　対　人間の訪問」の比率が極端に開いていることがわかっています。

従来のGoogle検索では「クロール6回につき1回の訪問」程度でした。

現在ではGoogleで「14回をクロールして1回」訪問という比率に悪化し、さらにOpenAIのAIクローラーでは「1700対1」、Anthropic社のAIに至っては「数万対1」という極端な乖離が確認されています。

もはやコンテンツ提供者側にほとんど価値が返ってこない現状です。

中小企業のサイトも例外ではありません。

せっかく時間と労力をかけて商品情報やブログ記事を公開しても、ユーザーは検索結果やAIの回答だけ見て満足してしまいます。

• サイトに訪れてくれない

• 問い合わせに繋がらない

このようなリスクが高まっています。

アクセス解析で「検索流入が減った」と感じている企業は、このゼロクリック現象の影響を受けている可能性が高いでしょう。

あふれるほどコンテンツがあり、しかも検索エンジンからの集客も見込めない。

では、コンテンツの価値は薄くなってしまったのでしょうか？

回答は「いいえ」です。

価値は薄れていません。

変わったのは「どこで価値を受け取ってもらうか」と「どう測るか」です。

これまでの主戦場は「クリックして読んでもらう」場所でした。

今は「検索結果やAIの答えの中で見られる」「ブランド名が目に入る」「指名検索や来店・問い合わせにつながる」までを含めて「価値」です。

今までとは考え方を変えていく必要があるのですね。

実は、Googleもこの10年間で検索結果の画面を大幅に変えています。

今後も当然変化していくでしょう。

私たちも、変化していくべきです。

「検索順位を上げる」だけがSEO（検索エンジン対策）ではないと認識を変えていきましょう。

この大幅で急激な変更には、考え方を変えるべきことがあります。

3つ見ていきます。

1つめは、「クリックの減少」を売上減と直結させて不安になることです。

短期のPVに寄りかかると、意思決定がぶれます。

2つめは、「どこで勝負するか」を絞りきれないことです。

これまで検索結果からの集客に頼っていた企業は、同じ施策を続けていては上記も含め痛手となります。

検索エンジン以外の地図、SNS、動画、メール、AI内表示にも目を向けて最適化が必要です。

3つめは、「一次情報」の不足です。

AIも人も、リアルを語る言葉やデータに惹かれますが、顔出しがなかったり自社独自の知見を出していなかったりと、一次情報に着目して情報発信している中小企業はまだ少数です。

現場の写真、工程の知見、数字、声などが枯渇すると、要約にも選ばれません。

「見られる・信頼される設計」に切り替えると、短期の数値減少等に一喜一憂することなく長期で指名検索されたり選ばれる企業へと転換していくことができます。

これらをどのように実装していくのか説明していきます。